福岡のアントロポゾフィー空間 "Raum"~お知らせその他あれやこれや
by r-gaon
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2007年 12月 18日
“青い花”は15年くらい前に立ち上げられたグループです。 会の名付け親は、当時“水絵の会(現在・福岡シュタイナー教室)”親の会のメンバーだったEさん。ドイツ・ロマン派の作家ノヴァーリスの『青い花』からとられたと伺っています。 実は、Eさんは人智学グループ“魔笛”の創設期からのメンバーでもあり、あの“らせん教室”の名付け親でもあるのです。
約14年前に私が“青い花”に初めて参加した時には、学校で経験してきた芸術授業と全く異なるアプローチに一瞬間戸惑ったものの、非常に興味感心を抱いたことを覚えています。・・・それがシュタイナー芸術との初めての出会いだったわけですが、以来その方法論と、そのベースを形作る考え方を深く知れば知るほど素晴らしさを実感してきました。
同じ技法やテーマを何度繰り返しても、そのつど新たな発見や体験が生まれるというのは、どのような芸術にも共通することですが、私がそれまで受けてきた訓練とは異なる、より本質的な体験に導かれているという実感がありました。
ですから相変わらず参加し続け、今や最古参となってしまいました。これまでの授業の中からいただいたエッセンスはどれも貴重なものばかりです。それらはインスピレーションの源となり、実際的には私の行う授業にも多分に取り入れることができています。 講師には開講当時から井手芳弘氏をお迎えしています。理科専門の井手先生が絵画を教えるの・・・?と、不思議に思う方もあるかもしれませんが、大学時代は特設美術科に籍をおかれたほどの腕前に加えて、ドイツ・シュツッツガルトのシュタイナー教員養成所でアントロポゾフィー芸術の独特な方法を体験なさっています。
また、木工に関してはプロ並みの技術と知識をお持ちなので、クラスでは絵画や彫塑(粘土)から彫刻や手工芸的なものまで、さまざまな種類の素材に取り組むことができるのです。
“青い花”のカリキュラム(ぬらし絵、シヒテン、描線画、木工、手工芸、プラトン立体など)については、毎年度始めに講師と参加者で話し合って決めています。詳しくは“青い花”活動紹介ページをご覧下さい。 Gaon
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2007年 11月 04日
テーマ ・・・層技法で描く「一日の雰囲気~流れ」―――――――――――――――――――――――――――――――
2007年度の“青い花”では、最初の数回は“ぬらし絵”を描いた。 あらかじめ水に浸しておいた水彩紙に透明水彩絵の具で色をおいていく(塗る)“ぬらし絵”は、初めて水彩を描く人にも抵抗なく取り組むことのできる技法である。
しかも、この技法で描くと絵の具がにじむため色は明確な形をキープすることができず、そのため色彩そのもののほうに意識が向かうことになる。意図的な表現が難しいという人もいる。
“青い花”は、一般的に上手だと言われる絵を描くことを目的とするのではなく、もっと根源的で直接的な経験を主眼とする芸術クラスである。
さて、今回の課題は“シヒテンで描く「流れ」。最初のテーマ設定は「一日のうちに移り変わる光と空気を描く」というものだったが、いつのまにか講座の流れの中で「空気の流れを描く」というものに変わっていた。時にこういうことがあるので、また面白い(笑)。
参加なさった方がたの中には、「シヒテンは初めて」という方がいらっしゃってちょっと不安気だったが、自然界に対する明確かつ深い理解を持つ井手先生による丁寧な導入のおかげで、「流れ」というものに対するイメージが喚起され、ある程度楽になられたように見受けられた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――
今回使用する画材は、シュトックマー社の透明水彩絵の具から、青2色、ウルトラマリンブルーとプルシアンブルー。水彩紙はアルシュ社の上質のもの。あらかじめ画板に水張りして乾かしておく。それと比較的幅広の水彩用筆。
“シヒテン”とはドイツ語で、日本では“層技法”と言われている。また、アメリカのシュタイナー学校で学んだ方々は“ベールペイント”と紹介されている。
単純に言えば、薄く溶いた透明な水彩絵の具を何層にも塗り重ねていく技法、またはその技法を用いて描かれた絵画作品のことである。色を塗っては乾かし、また縫っては乾かし・・・これをひたすら繰り返しながら仕上げていくわけだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――
シュタイナー学校の美術の授業カリキュラムでは、シヒテンは7年生(日本では中学生)くらいから取り入れられるようだ。それまでは水彩と言えば、もっぱら“ぬらし絵”である。Raumで行われている土曜クラス“福岡シュタイナー教室”でも、子どもたちは中学生クラスになって初めて取り組んでいる。
・・・なぜだろうと考えたときに、“ぬらし絵”は色彩そのものと遊ぶような感覚で即興的に描くのに対して、“シヒテン”ではゆっくり時間をかけて色や形と対話しなければならないというちがいがある。
シヒテンの際に必要になってくる感覚は、もしかしたらコミュニケーションの感覚に似ているかもしれない・・・自分が存在すると同時に相手も存在していて、両方の気持ちや考えをすり合わせながら一つの世界を創造していくような・・・。目的によっては、先の予測というような思考能力も要求される場合もある。
そう考えると、やはり第三・7年期になってからにふさわしい体験だと納得できるのだ。
そして、もちろんどのような技法であってもさまざまな可能性を持っていると思うが、この“シヒテン”においては、“シヒテン”画家という分類があるように絵画制作という視点からの表現追求ができるし、もう一方で、セラピー的な視点からのアプローチも可能であるという特徴がある。 私はこの“シヒテン”という技法が大好きで、これまでも何枚も描いてきた。・・・なぜ好きなのかというと、(先にも書いたように)やはり描いている間の心地良さがあり、作品としてみた場合にも薄絹を重ねたような繊細で美しい表現ができるからだ。
この“青い花”で行われている“シヒテン”は、どちらかというとセラピーの現場で行われている方法に近いと思う。だから、形や画面の構築などについて、あまり考えすぎない方がいい・・・と、私は思っている。むしろ、自分の中に調和的な感覚が生まれてくるか?・・・そういう部分に意識を向けることが大切だ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――
では、まずはいろいろ頭で考えることをやめて、自分の中にある動きを青い色を使って画面に表現してみよう。
そして自分自身を静かにして、ただただそこに現れた色彩と流れを感じてみる・・・すると、画面のほうから自分に向かってくる「何か」に気付くだろう。
そしてその「何か」に同調するまで待っていると、やがて自分の中に次の動きが生まれてくる。そのような行為をひたすら繰り返す・・・
本当にその世界に入ると、やがて呼吸が楽になってくるのを感じる・・・でも、「何か」とは何なの?・・・何と言ったらいいのだろう・・・言葉で表現することは難しいな・・・
「何か」とは色であるかもしれないし形であるかもしれない。思い出の一つであるかもしれないし、風景であるかもしれない。もしかしたら音楽や感情だということもある。それは一人一人ちがって構わない・・・というか、ちがって当然だから。
でも、あまり具体的なイメージの形に固まってしまわないよう、常に動いている自分の内的な部分と外側を感じつつ描く。・・・そう、それは有機的、まるでゆっくりと呼吸をするように・・・ ―――――――――――――――――――――――――――――――
さて、第1回目を終えて作品を見合った。そして、3回連続講座の次回は2回目。ゆっくり時間をかけて取り組む中で、作品も自分もどのように変わっていくのか?…楽しみだ。 2007/11/4 ■report Gaon
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